──小さな命のために、できることを少しずつ
「クビワコウモリを守る会」は、長野県乗鞍高原を拠点に、クビワコウモリの保護と調査を続けている市民団体です。
設立は1995年。乗鞍高原で、民家の屋根裏にすむコウモリの出産・子育ての様子が発見されたことをきっかけに、専門家と地域の有志が集まり、活動が始まりました。
小さくて目立たないコウモリですが、その暮らしを見つめ、守るために、私たちは地道な活動を積み重ねています。

保護活動
● バットハウスでの調査と管理
乗鞍高原には、クビワコウモリのために建てられた専用の人工ねぐら「バットハウス」があります。
ここは、自然の樹洞が減ったコウモリたちにとって、貴重な繁殖の場所です。
春(4月下旬)には、バットハウスを開けて内部を清掃し、夏の繁殖期に備えます。秋(11月上旬)には、小屋を閉めて、また清掃と点検を行います。
その合間には、ねぐらの利用状況やフンの調査を通じて、コウモリたちの動きを静かに記録し続けています。
● 野外での調査
バットハウス以外にも、周辺の森林や建物など、さまざまな場所でクビワコウモリが暮らしています。
そうしたねぐらの発見や確認も、重要な仕事のひとつです。
● 保護されたコウモリのケア
ときには、人の家の中で弱ったコウモリが見つかることもあります。
そうした個体を一時的に保護し、自然に戻せるようにケアを行うこともあります。
普及・啓発活動
コウモリのことを知ってもらうことも、保護の大切な一歩です。
● 観察会の開催(6月〜8月)
夏の間、乗鞍自然保護センターなどと協力し、夕暮れ時に行う「コウモリ観察会」を開いています。
バットディテクターという道具を使い、コウモリの飛び出す姿を間近で観察できます。
「はじめて見た」「こんなに近くにいたんだ」といった声が、毎年聞かれます。
● ニュースレターの発行
活動の記録や研究の成果を、年に1回、ニュースレターのかたちで発信しています。
会員の皆さまや、地域の方々に届け、少しずつ理解の輪を広げています。
わたしたちの願い
クビワコウモリの暮らしを支えるには、調査や保護だけでなく、人との共存の道を探ることも欠かせません。
自然と暮らしのあいだで生きるこのコウモリと、どう向き合うか。その問いに、急がず、怠らず、向き合い続けたいと思っています。